仮装人物(かそうじんぶつ)

 そのころ庸三はふとした機会から、踊り場へ足踏みすることになり、そこで何かこだわりの多い羽織はかまの気取りもかなぐりてて、自由な背広姿になり、恋愛の疲れをいやすこともできた。そしてその時分から埃塗ほこりまぶれの彼女の幻影も次第に薄れてしまった。