RUR(エルウーエル)


 ハリィ・ドミン…………RUR代表取締役
 スラ………………………ロボット(♀)
 マリウス…………………ロボット(♂)
 ヘレナ・グローリィ……RUR会長の娘
 ガル博士…………………RUR生理研究局主任
 ファブリ技師……………RUR技術担当主任
 ハレマイヤ博士…………ロボット心理教育研究所所長
 アルクイスト建築士……RUR労働局主任
 ブスマン部長……………RUR営業部部長
 ナナ………………………ヘレナの乳母
 ラディウス………………ロボット(♂)
 ヘレナ……………………ロボット(♀)
 プリムス…………………ロボット(♂)
 ロボットA
 ロボットB
 ロボットC
 執事ロボット
 その他適宜たくさんのロボット

舞台写真1
 第一幕 RURロボット製造工場、社長室
 第二幕 ヘレナの応接間(一〇年後の朝)
 第三幕 同日、午後
 終幕 RUR生理研究局(一年後)
舞台写真2

 場所 ある孤島
 時代 未来
 
ポスター1ポスター2
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ナレーション 商品名「ロボット」。この商品は、当社が開発した人造人間であり、人間のあらゆる労働を肩代わりしてくれる、万能労働者です。また、一台あたりの値段も大変安くなっておりまして、何かとお困りの人件費の削減にもお役に立つこと間違いありません。RUR、ロッサム世界ロボット製作所の「ロボット」を、ぜひお買い求め下さい。……
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 ロッサム世界ロボット製作所社長室。下手に入口。正面奥には窓がいくつかあり、その向こうに立ち並んでいる工場の煙突が見える。上手には管理局の部屋がつづく。ドミンは大きな事務机を前にして、回転椅子に坐っている。下手の壁には汽船と鉄道の大きな路線図が数枚あり、上手の壁には印刷されたポスターが貼られている(内容は幕前のナレーションのようなもの)。壁のものとは対照的に、床には美しいトルコじゅうたんが敷かれ、ソファ、革製のアーム・チェア、書類整理用の棚がある。窓際の机の近くで、スラがタイプライターで手紙を打っている。

ドミン (口述している)いいか?
スラ はい。
ドミン イングランド、サウサンプトン、E・M・マクヴィッカー株式会社御中。「当社としましては、輸送中破損いたしました商品の保証はいたしかねます。積み込みの際、貴社の船がロボットに適さないことは、船長に忠告済みでありますので、当社が責任を負うところではございません。なにとぞご了承下さい。今度とも、ロッサム世界ロボット製作所をよろしくお願いします。」

 スラはドミンがしゃべっている間、じっと動かず坐っていたが、しゃべり終わるとすぐタイプライターを打ち始め、数秒で終えると、完成原稿を引き抜く。

ドミン できたか?
スラ はい。
ドミン では次。アメリカ合衆国、E・B・ハイソン代理店御中。「ロボット五〇〇〇台の注文を確かに承りました。貴社の船をこちらにお回しになる際、復路用に往路と同量の石油、石炭を積み荷にお載せくださるようお願いします。その分の費用は、当方から一部、口座振込にてお支払いいたします。今後とも、ロッサム世界ロボット製作所をよろしくお願いします。」

 スラが再び素早いタイプを繰り返す。

ドミン できたか?
スラ はい。
ドミン では次だ。ドイツ、ハンブルク、フリードリッヒ製作所御中。「ロボット一五〇〇台の注文を確かに承りました。」(電話が鳴り、取る)もしもし、社長室だ。ああ、確かに。そうだ、電報を打っておいてくれ。よろしく頼む。(電話を切る)ええと、どこまで行ったかな。
スラ 「ロボット一五〇〇台の注文を確かに承りました。」
ドミン ロボット一五〇〇台、一五〇〇台か。

 マリウス登場。

ドミン 何事だ?
マリウス 女性が面会を希望しておられます。
ドミン 女性? 誰だ。
マリウス 存じません。名刺をお持ちになりました。
ドミン (名刺を読んで)ああ、グローリィ会長の紹介か。通してくれ。
マリウス どうぞお入りください。

 ヘレナ・グローリィ登場。
 マリウス去る。

ヘレナ こんにちは、はじめまして。
ドミン どうもはじめまして。(立ち上がって)今日はどういったご用件でしょうか?
ヘレナ 取締役のドミンさんでいらっしゃいますね?
ドミン ええ。
ヘレナ お願いがあって参ったのですが――
ドミン グローリィ会長のご紹介とあらば、ぜひおうかがいいたします。
ヘレナ グローリィ会長はわたくしの父です。わたくし、ヘレナ・グローリィと申します。
ドミン お嬢様、わたくしどもとしてましても、会長のお嬢様をお迎えできるとは、たいへん光栄なことにございます。それに――
ヘレナ わたくしに、お引き取りくださいと言えないこともですか?
ドミン お掛けください。スラ、君は席を外しなさい。