みだれ髪(みだれがみ)


さちおはせ羽やはらかき鳩とらへ罪ただしたる高き君たち

打ちますにしろがねの鞭うつくしき愚かよ泣くか名にうときひつじ

誰に似むのおもひ問はれし春ひねもすやは肌もゆる血のけに泣きぬ

庫裏くりの藤に春ゆく宵のものぐるひ御経みきやうのいのちうつつをかしき

春の虹ねりのくけ紐たぐりますはぢろがみあけのかをりよ

むろの神に御肩みかたかけつつひれふしぬゑんじなればの宵の一襲ひとかさね

あめさいここににほひの美しき春をゆふべにしふ[#ルビの「しふ」は初出では「しう」]ゆるさずや

消えてりて石と成らむの白桔梗しろぎきやう秋の野生のおひ趣味しゆみさて問ふな

歌の手に葡萄をぬすむ子の髪のやはらかいかな虹のあさあけ

そと秘めし春のゆふべのちさき夢はぐれさせつる十三絃よ