きたりすナトキンのはなし(きたりすナトキンのはなし)

表紙絵

口絵1
口絵2
ノラに おくる ものがたり

挿絵1
 これは はなしです――つまりは きたりすの しっぽの はなしで、 そのこの なまえは ナトキンと いいました。
 チンクルベリという おにいさんと おおぜいの いとこがいて、 みんなして みずうみの ほとりにある 1ぽんの きに すんでいました。

挿絵2
 そのみずうみの まんなかには しまが あって、 もりと どんぐりの やぶに おおわれて、 1ぽんの がらんどうに なった ナラのきが ありました。 そこは しまの ぬしである ブラウンという ふくろうの おうちでした。

挿絵3
 あるとしの あきは きのみも たわわ、 ハシバミの やぶでも はっぱが きいろに みどり ―― ナトキンと チンクルベリは おおぜいの こどもりすと いっしょに もりの そとへ でて、 みずうみの ほとりへと むかいました。

挿絵4
 ちからを あわせて きのえだで こぶりの いかだを つくって、 みなもを こぎこぎ、 どんぐりを あつめに ふくろうの しまへ むかいます。
 ひとりひとり ちいさな ふくろと おおきな オールを てにして、 ほぬのがわりに しっぽを のばします。

挿絵5
 しまの ぬし ブラウンへの てみやげとして 3びきの ぶくぶくとした ねずみも つれていって、 とぐちの ところへ さしだしました。
 それから チンクルベリと りすいちどうは いっせいに ふかぶかと おじぎを して、 ていねいな ことばづかいで、
「しまの ぬし ブラウンさま、 どうか このしまの どんぐりを とること おゆるし ねがえませんか?」

挿絵6
 ところが ナトキンの たいどは めに あまるほど なまいきで、 あかい サクランボみたいに ふらふらと うごきながら こんなことを うたうのです。
「なぞなぞ なぞなぞ といてみろ!
 あかい ふく きた ちびっこが
 てには ぼうきれ、 のどには こいし、
 このなぞ とけたら おだちんやるぞ。」
 とはいえ このなぞなぞは むかしながらの ものなので、 しまぬしさまも ナトキンを とことん むししました。
 かたく めを つむると ぐっすり すやすや。

挿絵7
 りすたちは ちいさな ふくろ いっぱいに どんぐりを つめ、 ひが くれると いかだを こいで おうちへ かえりました。

挿絵8
 けれども あくるひの あさ ふくろうの しまに もういちど みんなで むかいました。 チンクルベリたちは 1ぴきの まるまる ふとった もぐらを もっていって、 しまぬしさまの とぐちまえにある いしの うえへと のせて、 いいました。
「ブラウンさま、 どうか もっと どんぐりを とること、 おおめに みて いただけませんか?」

挿絵9
 ところが ナトキンは ぶれいせんばん ぴょこぴょこ あたりを うごきまわって、 しまぬしさまを イラクサで ちくりと さし、 うたを うたうのです。
「ブーの じじい、 なぞなぞ とけよ!
 ヒッチピッチが かべのなか
 ヒッチピッチは かべのそと
 ヒッチピッチに さわったら
 ヒッチピッチが かみつくぞ!」
 しまぬしさまは やにわに めを あけると、 もぐらを かかえて おうちの なかへ はいってしまいました。

挿絵10
 ナトキンの めのまえで とびらが しまり、 やがて まきを もやす こい けむりが ほっそりと きの てっぺんから ふきだしてきました。 そこで ナトキンは かぎあなから なかを のぞいて またしても うたいます。
「おうちは いっぱい、 あなも いっぱい!
 だから おわん 1ぱいぶんも あつまらない!」

挿絵11
 りすたちは しまじゅうで どんぐりを さがし、 ちいさな ふくろを いっぱいに しました。
 けれども ナトキンは きいろや あかの むしこぶを ひろいあつめて、 ブナの きりかぶに すわって たまあそびを しながら しまぬしさまの おうちの とびらを じっと みはるのです。

挿絵12
 みっかめの りすたちは はやおきして つりに でかけました。 つりあげた 7ひきの ぷりぷりした コイは しまぬしさまへの みつぎものです。
 みんなで みずうみを わたり、 ふくろうじまの ひんまがった クリのきの したから おかに あがります。

挿絵13
 チンクルベリと 6ぴきの りすは ぷりぷりした コイを それぞれ 1ぴきずつ はこんだのですが、 ナトキンは おぎょうぎも よくないので みつぎものなんか まったく もちません。 いちばん まえを はしって、 うたを くちずさむのです。
「あれちの おとこが ぼくに つげた
『うみでは イチゴは いくつ そだつ?』
 しょうがないから こたえは 『もりで
 にしんの くんせい そだつ かず。』」