つりびとジェレミーさんのはなし(つりびとジェレミーさんのはなし)

表紙絵

口絵1
口絵2
ステファニーへ いとこの Bより

挿絵1
 むかしむかし つりびとジェレミーさんという かえるが おりました。 すまいは いけの ほとり、 キンポウゲに かこまれた じめじめした こやです。

挿絵2
 くらも、 うらぐちへ つづく ろうかも、 みずで びちゃびちゃ つるつる。
 けれども ジェレミーさんは おみあしを ぬらすのが すきなのでした。 だれに おこられるでもなし、 かぜを ひくでもなし!

挿絵3
 あるとき おもてを みると、 とっても うきうきしてきまして。 だって めのまえで おおつぶの あめが いけに ぱしゃぱしゃ ふっているんですから ――

挿絵4
「みみずでも つかまえて、 つりにでも でかけて、 ばんごはんに もろこでも 1さらぶん とるか。」と つりびとジェレミーさん。「5ひきよりも おおく とれたら しりあいでも まねくか。 じじがめトレミーさんに いもりやアイザックさまだな。 まあ、 じじがめさんは やさいしか くわんけども。」

挿絵5
 ジェレミーさんは あまがっぱを はおって ぴかぴかの あまぐつを はきました。 さおと かごを とって、 ぴょーん ぴょーんと おおきく はねながら こぶねを とめてあるところへ むかいます。

挿絵6
 それは まるく みどりの こぶねで、 まるで ふつうの スイレンの はっぱと みわけが つきません。 いけの まんなか みずくさに くくりつけてあったのです。

挿絵7
 ジェレミーさんは アシのくきを てにして、 ふねを みずの ひらけたところへ おしうごかしていきました。「うむ、 もろこには うってつけの つりばが あるな。」

挿絵8
 ジェレミーさんは くきを へどろに つきたて、 そこへ こぶねを とめます。
 そのあと あぐらを かいて つりぐの したく。 おきにいりの あかい うき。 さおは じょうぶな くさの くき。 つりいとは じょうもので しろげの うまの ながい かみ。 さきに うねうね ちいさな みみずを とりつけました。

挿絵9
 あめが ぽつぽつ せなかに おちるなか、 こいちじかん じっと うきを みつめます。
「たいくつに なってきた。 ここらで おひるにでも したいかな。」と つりびとジェレミーさん。

挿絵10
 いけの そこを ついて みずくさの あたりへ もどり、 かごから おひるを とりだしました。
「ちょうちょの サンドイッチでも たべて、 にわかあめが やむまで ゆっくりでも するかな。」と つりびとジェレミーさん。

挿絵11
 そのとき でっかい げんごろうが スイレンの はのしたに あらわれて あまぐつの つまさきを ぐっと つまみました。
 ジェレミーさんは かいていた あぐらを せばめて とどかないようにして、 また サンドイッチを たべていきます。

挿絵12
 ちょこちょこ なにかが いけのわきの イグサのあたりで かさかさ ばしゃばしゃ うごきまわっていました。
「ねずみじゃあ ないな、 ぜったい。」と つりびとジェレミーさん。「どうも ここから はなれなならんかな。」

挿絵13
 ジェレミーさんは ふねを つきうごかして ちょっと ひきかえし、 えさを たらしました。 すると いれるなり かみついてくるものが あって、 うきから ぐいぐい ひきが つたわってきまして!
「もろこ! もろこだな! こっちのもんだな!」と つりびとジェレミーさんは こえを はりあげ、 さおを ひっぱりあげます。

挿絵14
 ところが なんとも まったく びっくり! ふっくら すべすべ もろこのかわりに ジェレミーさんが つりあげたのは、 はりだらけの とげうお、 とんがりジャックくんでした!

挿絵15
 そのとげうおは こぶねで じたばた、 あげくに ちくちく ぴちぴち。 いきぎれするや また みずに とびこんでしまって。

挿絵16
 みていた こざかなの むれが あたまを のぞかせ、 つりびとジェレミーさんを おおわらい。

挿絵17
 それから こぶねの へりに すわったまま やるせなく ―― いたむ ゆびを なめ、 みずのなかを のぞいていると ―― もおっと ひどいことが おこりまして。 ジェレミーさんが あまがっぱを はおってなかったら ほんとに おそろしいことに なってたかも!

挿絵18
 すんごく でっかい ますが あらわれて ―― ざばっ ―― ばばっ ―― ば ―― ば ―― ば! みずしぶき ―― そして ジェレミーさんを あむっと くわえて 「あう! うわ! ああぁ!」―― と、 そのあと また ひるがえって とびこんで いけのそこへ ずぶずぶずぶ!

挿絵19
 とはいえ ますは あまがっぱの あまりの まずさに 30びょうと たたず はきだして、 のみこまれたのは ジェレミーさんの あまぐつだけでした。