まちねずジョニーのはなし(まちねずジョニーのはなし)

表紙絵

口絵1
口絵2

挿絵1
 まちねずジョニーが うまれたのは とだなのなかでした。 かごいりチミーの うまれたところは にわでした。 かごいりチミーは いなかの こねずみでしたが、 あるとき てちがいで あみかごに いれられ まちまで いってしまって。 にわの もちぬしが しゅうに 1ど やさいを まちへ はこんでもらっていまして、 それで いつも おおきな あみかごに つめるのです。

挿絵2
 そのひとが にわの いりぐちのわきに かごを おいておくと、 はこびやさんが とおりすがりに ひろっていく というわけで。 そこへ かごいりチミーが かごにあいた あなから なかへ はいりこみ、 とりあえず おまめを たべますと ―― かごいりチミー ぐっすり ねいってしまいまして。

挿絵3
 びくっとして めを さますと、 かごが ちょうど はこびやさんの にぐるまに つまれるところで。 そのあと いきなり がたっと ゆれて、 ぱかぱかという うまの ひづめの おと。 ほかにも にもつが なげいれられて。 ながい ながい みちのりを ―― がたん ―― ごとん ―― がたごとっ! かごいりチミーは ごったがえす やさいのなかで ふるえていました。

挿絵4
 やがて にぐるまは 1けんの いえのわきで とまり、 ここで かごは おろされ はこびこまれ、 したに おかれます。 そのいえの すいじがかりは はこびやさんに はくどうの コインを 1まい わたしました。 うらぐちが ばたんと しめられると にぐるまは ごとごと はなれていきます。 けれども しずかに なるわけでは なく、 まるで なんびゃくもの にぐるまが とっているみたい といいますか。 いぬは ほえますし、 おとこのこは あつまって とおりで くちぶえを ふきますし、 すいじがかりも おおわらいして、 すみこみの おてつだいだって かいだんを かけのぼったり おりたり、 それから カナリアまで ぴーぴー ゆげを ふくみたいに うたうのです。

挿絵5
 かごいりチミーは これまで いなかの にわでしか くらしたことが なかったので、 もう しぬほど こわくって。 するといきなり すいじがかりが かごを あけて やさいを とりだしていきます。 そこを ぴょーんと でていく こわがりの かごいりチミー。

挿絵6
 とびあがった すいじがかりは いすに しりもち かなきりごえ。「ねずみ! ねずみよ! ねこを よんで! ひかきぼうを ちょうだい、 セアラ!」 かごいりチミーが ひかきぼうを てにした セアラなんて まつわけ ありません。 すそいたの よこを はしりに はしって、 そのうち ちいさな あなのところまで きたので、 そこへ ぴゅっと すべりこみました。

挿絵7
 すると あしはんぶんの たかさだけ おっこちて、 つっこんだのが ねずみの ディナーパーティの まっただなか、 3つも グラスを わってしまいます ――「いったい なにものかね。」と といつめるのは まちねずジョニー。 とはいえ おどろいて こえを あらげたのは はじめだけで、 すぐさま また とりすまして。

挿絵8
 とにかく あらたまって かごいりチミーを この あつまりに まねきいれました。 そこにいた ねずみは ぜんぶで 10ぴき、 みんな しっぽが ながく、 しろい ネクタイを しめています。 かごいりチミーの しっぽと きたら ちっぽけな ものですからね。 まちねずジョニーを はじめ そのなかまたちも そのことに きづいたのですが、 みんな そだちが いいので、 ひとに とやかくは いわないのです。 ただ ひとりだけ かごいりチミーに きいてしまった ねずみが いて。 わなに かかったことは? って。

挿絵9
 ディナーは 8しな あって、 やまもりは なかったのですが、 ほんとに おじょうひんな ものでした。 どの おさらも かごいりチミーの しらないものばかりで、 くちを つけるのも ちょっと ためらうくらいなのですが、 ただ おなかが ぺこぺこでしたし、 みんなの ふるまいを まねしなくっちゃって おもいまして。 でも たえず うえで どたばたしてるので ひどく きが ちってしまって、 おさらを おっことしてしまいます。「きにするでない。 どうせ この さら、 われらの ものでない。」と いうのは ジョニーでした。

挿絵10
「わかいのは なにゆえ デザートを もって もどってこん!」 というのも つまり 2ひきの わかねずみが みんなの はいぜんがかりで、 コースの あいまに うえの だいどころへ あさりに いくのです。 そのうち なんども ころびながら もどってきて きゃっきゃ あはは。 かごいりチミーは はっと きづいて こわくなります。 じつは 2ひきとも ねこに おわれていたのですから。 おなかすいたも どこへやら、 あたまが くらくらして。 そこへ「ゼリーは いかが。」と まちねずジョニー。